■ S型顕微鏡へのCFシステムの導入

CFシステムとは


 CFとは「Chromatic Aberration Free」の略。訳すと「色収差なし」となります。対物レンズのみで色収差を補正する方式です。現行のニコン顕微鏡はCFシステムとなっています。接眼レンズの光学系が対物レンズに依存しない柔軟な光学系に思えます。
 ニコンは、S型顕微鏡の時代(1950年代後半~1970年前半当時)、コンペンゼーション方式(対物レンズと接眼レンズ合わせて色収差を補正する方式)を採用していました。

CFシステム化の背景


 写真撮影を行うために検討しました。撮影時、接眼レンズの代わりにカメラアダプターレンズを使用しています。しかし、カメラアダプターレンズはコンペンゼーション方式接眼レンズ相当の色収差補正を行わないため、S型顕微鏡に付属している対物レンズを使用し撮影を行った場合、倍率色収差が残存した像を撮影することになります。これを回避するため、CF方式の対物レンズを別途購入することにしました。

対物レンズの選択


 ニコンの顕微鏡は光学系が変化してきているため、どの顕微鏡でも同じレンズを使用できるわけではないようです。  現在のニコンの顕微鏡はCF方式ですが、S型顕微鏡と結像方式が異なる(無限補正光学系)ため対物レンズを使い回せないです。しかし、オプチフォトの時代(1980年代)の顕微鏡はCF方式で、かつ、結像方式がS型顕微鏡と同じ(有限補正光学系)でした。この時代の対物レンズと接眼レンズであれば、S型顕微鏡で使えるはずです。
 レンズ光学は完成されて久しく、1980年代当時の対物レンズと現在の対物レンズで基本性能にあまり違いはないと言われています。1980年代の対物レンズでも物理的損傷がない限り、十分綺麗に観察できるはずと思います。
 中古で安く出回っていました。手頃な値段のものをいくつか購入して試してみました。カバーガラスは使わないので、カバーガラス補正なし、もしくは、カバーグラスがあってもなくても良いレンズ。高倍率の使用頻度が低いため低倍率優先で揃えました。
光学系S型顕微鏡オプチフォトEclipse
無限補正光学系××
有限補正光学系×

PO レンズ


 PO レンズは、偏光顕微鏡用のレンズです。偏光の乱れを小さくする設計となっているらしい。POレンズは中古であまり出回らないので、4倍のみ所持。一番落ち着いた感じに見えます。しかし、Plan(全面焦点)と書かれていないので、全面ピントのレンズではないと思われ、中心部はスッキリ見えるのですが、周辺部が少しボケます。

対物レンズ:PO 4 0.1 160/-
岩石薄片:アンチゴライト蛇紋岩(夕張岳)

夕張岳に分布する蛇紋岩の一種です。アンチゴライトと呼ばれる高温で生成する蛇紋石からなります。タワシみたいな針状の結晶がたくさんありますが、そこがアンチゴライトです。黄色い部分は「ブルーサイト」。真っ黒が「磁鉄鉱」です。
オープンニコル
クロスニコル

M Plan レンズ


 M Plan レンズは、金属顕微鏡用のレンズです。金属顕微鏡は、落射照明を用いて磨かれた金属に光を照射し、金属表面で反射した光を観察する顕微鏡です。落射照明を中間鏡筒に取り付けることが前提であるため、昔の有限補正光学系の金属顕微鏡は、機械鏡筒長210mmに設計されていました。対物レンズは当然ながら機械鏡筒210mmに設計され、カバーグラス補正がなく、レンズ内を落射照明の光が通ってサンプルに照射される仕組みのため、レンズ自体が太いです。レンズフレアが起きにくいコーティングがされています。我が家にある対物レンズで最も綺麗に岩石薄片を映しだすレンズは、M Planレンズだったりします。どういうわけか、偏光用のPやPOレンズ、生物用のPlan APOレンズよりも綺麗に見えます。それはPlanの名に恥じない全面焦点精度です。全面均一に焦点を結び、結晶のディテールが最も精細に再現されるところが気に入っています。中古でも多く出回るので、お手頃な価格で手に入りやすいです。

対物レンズ:M Plan 5 0.1 210/0
岩石薄片:プロピライト(札幌市 平和の滝付近)

札幌市の山の手博物館の岩石薄片作成講座で作成したものです。この岩石は北海道のグリーンタフ地域(第三紀の海底火山活動の時代に出来た地層)に分布する緑色に変質した安山岩です。日本語名は「変朽安山岩」と言います。薄片を見ると、結晶に穴が開いていたり、ヒビがたくさん入っていたりして、崩れたようになっているものが多く、変質を感じます。
オープンニコル
クロスニコル

Plan Apo レンズ


 憧れていたアポクロマートレンズを思い切って購入。色収差がほとんどなく、全面に渡り均一に焦点を結びます。このレンズで見たかんらん岩はとても美しくて感動しました。カバーガラスの存在に左右されないレンズを選びました。

対物レンズ:Plan Apo 2 0.1 160/-
岩石薄片:斜方輝石かんらん岩(日高町岩内岳)

日高山脈博物館の岩石薄片講座で作成した日高町の岩内岳のかんらん岩です。ちょうど、蛇紋岩化がそこそこしている部分で、蛇紋石の脈(オープンニコルで薄い黄色味がかった脈)がたくさん入っています。クロスニコルで色鮮やかな部分は「かんらん石」、白い大きな結晶が「斜方輝石」。オープン・クロス双方で真っ黒い部分「スピネル」です。
オープンニコル
クロスニコル


札幌の石

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