双眼実体顕微鏡 Nikon SM

 ここでは実体双眼顕微鏡について書いておこうかと思います。誰かの参考になればと思います。実体双眼顕微鏡とは、左右の目が別々の対物レンズを通した像を見ることで生じる視差を利用し、モノを立体的に見ることができる顕微鏡。通常の顕微鏡のように、標本を薄く作成したプレパラートを高倍率で観察するのではなく、モノ(虫や植物や砂など)を低倍率でそのまま観察する顕微鏡です。札幌の「山の手博物館」へ子供を連れてお邪魔した時、星砂を観察できるようになっていたニコンSMを見て、これはいいかもしれないと思いました。たまたま見つけたので購入しました。

■ Nikon SM型 実体顕微鏡について ■
 この顕微鏡は「ニコン SM」です。1954(昭和29)年5月に発売された、ニコン初の双眼実体顕微鏡だったと思います。倍率は3段階(6倍、16倍、40倍)です。倍率を変更しても焦点距離は変わらず、ピントは1回合わせるだけです。SM型の発売当時、社名は「日本光学工業株式会社」でした。顕微鏡の正面に「NIPPON KOGAKU」のレトロな刻印があります。半世紀以上前の代物ですが特に問題なく使えています。
参考:ニコン 企業年表
http://www.nikon.co.jp/corporate/history/chronology/index.htm

■ 照明装置

 購入時の付属品はなく、現状、全体的に照射する場合は、ニコントランスフォーマーにブルーフィルターを付けたもので照射しています。安定して均一な照射ができます。鉱物の結晶など、狭い領域に対して斜めから光を当てて観察したい場合は、LEDのブックスタンドを使用しています。また、顕微鏡本体のステージの白く丸い部分の中心部分のみ、下から光を当ることができるようになっています。ただ、元々はそうではなかったようで、前の所有者がDIYで透過できるように削った跡が残っています。ニコンの社史を見ると、下から照射する装置が付いた写真が載っており、また、落射照明装置が付属していたことが書かれています。
■ 問題点 ■
 トランスフォーマーです。電球が切れやすいです(購入時に付いていたものは2日で切れました)。そして、触れないくらい熱くなりますので、照射位置を小まめに変える必要がある場合には不適です。

■ 撮影装置

 偏光顕微鏡で使用しているカメラアダプターを使い、一眼レフカメラを装着して使用しています。写真鏡筒はないので、接眼レンズを外して取り付けます。鏡筒内径は30mmです。カメラアダプターが30mm鏡筒に対応しているため撮影できました。
■ 注意点 ■
 ニコンSMは写真撮影を想定していないと思うので、接眼部へのカメラアダプター抜き差しは、接眼部及び顕微鏡本体への負担になると思えました。特に接眼部はあまり頑丈ではない感触です。写真撮影は、写真鏡筒のあるものを使用するのが安全かもしれません。EOS Kiss 7はミラー式一眼レフカメラの中では最軽量クラスではありますが、カメラアダプターと合わせると600グラム程度になります。

■ 撮影画像

 接眼レンズを通して見た感じに近いイメージで撮れました。ただ、カメラで撮影すると画像周辺部に収差が結構あることがわかりました。昭和20年代のものなので、しかたがないかなと。これだけ見れれば我が家では十分です。

高温石英(富良野) 16倍
十勝火砕流堆積物中に含まれる結晶です。薄紫色をしているものもあり綺麗です。外見は高温石英ですが、内部の結晶構造は普通の石英になっているそうです。

オリビンサンド(ハワイ島) 16倍
ほぼかんらん石からなる砂です。北大のパラタクソノミスト講座でお世話になっている方にいただいたものです。この砂の海岸はオリーブ色がかっています。
あられ石(平取町) 6倍
蛇紋岩中の割れ目に出来たあられ石の結晶です。

■ 子供が顕微鏡に興味を持ってくれた

 子供に見せたところ新鮮だったようで、いろいろ見たがりました。単純に大きく拡大したものが見えるので面白いようです。今回は良い買い物が出来たかなと思いました。また、お友達からもらった大豆を見てみました。目の出る所を拡大するとこんなになってました。


6倍

16倍

40倍