石のDB

038 ダンかんらん岩 dunite 日高町 

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採集日:2010-07-04
採集地:日高町
地質帯:神居古潭帯
岩体 :岩内岳
種別1:火成岩
種別2:深成岩
サイズ:13.5cm

神居古潭帯で唯一蛇紋岩化を免れた岩体にある再結晶(地下深くでかんらん岩が融け、融けた液体から固結)したダナイトです。アポイ岳のかんらん岩に負けないくらい綺麗です。

日高の岩内岳はかんらん岩で出来た山で、かんらん岩の採石場となっています。日高山脈館のネイチャーセミナーに参加し、許可を得て採石場まで行くことができました。これは、採石場の貯石の中から見つけたものです。ダナイトは90%以上がかんらん石からなります。所々にクロムスピネルが黒い点のように入っていますが、輝石がなく、ほとんどかんらん石から出来ているのがわかります。 岩内岳のかんらん岩は、神居古潭帯で唯一、蛇紋岩化を免れた岩体のようです。新鮮な生き残りかんらん岩体です。幌満のような綺麗なオリーブ色ではなく真っ黒。ここは、マントルのかんらん岩がそのまま地上まで上がってきたものとのことで、実は、マントルのかんらん岩は真っ黒のようです。黒色の原因は、鉄分が少なくマグネシウムが多い、もしくは、微細なクロムスピネルをたくさん含んでいるからという話です。 かんらん石に鉄分が2%程入ると、このようなオリーブ色になるようです。岩内岳のオリーブ色のかんらん岩は、真っ黒のかんらん岩の中にレンズ状、もしくは、ハルツバージャイトとダナイトが数cm~数10cm間隔で入り組んだ状態で入っているといいます。(久保 日本地質学会学術大会講演要旨 106, 67, 1999-10-05) 地下深くにあった時、かんらん岩が一部融け再結晶し、結晶が大きく成長したようです。 このダナイトは、真ん中が黒っぽいかんらん石になっていて、ひょっとしたら、元々の黒いかんらん岩が残ったのかもしれませんね。